職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第14回
「ヒトはなぜ協力するのか」
マイケル・トマセロ 著、橋彌 和秀 訳/勁草書房/定価 本体2700円+税

公益社団法人発達協会 療育部 村田純一(児童指導員)

日々の療育を行う中で、保護者の方からの「友達とやりとりや協力ができない」といった、子どもの社会性に関する悩みに触れることが多くあります。我々も社会性の指導については、「大人や友達とやり取りする中で他者に合わせる姿勢」をどう育てるかといった視点から、内容を考えることがあります。しかし、そもそもなぜ人は他者に合わせることや協力することを求められるのでしょうか、そして、そのやり方を教える必要があるのでしょうか。そんな根本的な問題に迫る本を紹介したいと思います。

アメリカの心理学者であり、現在はドイツにある進化人類学研究所の所長であるマイケル・トマセロは「人は生まれながらにして利他的傾向があり、直接の社会的経験と社会規範によってその傾向を促進させていく」と述べています。

また、類人猿とヒトの行動の比較を主とした数々の実験をもとに、他者を利する性質である利他性は、相利性(協働によってのみ得られる利益のために全員が協力するという状況)から発生したという仮説を提案しています。他にも、この仮説に対し、より早期の段階で学習がかかわるのではないか、言語が大きな役割を果たすのではないかという様々な専門家の意見が紹介されています。

人と協力する、やりとりをするという社会性の指導がもつ意義を考えるきっかけとなると思います。主に専門家の方におすすめです。




第1回 「子どもの集中力を育てる」齋藤孝 著

第2回 「自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト ―お父さんもがんばる!「そらまめ式」自閉症療育」藤居学 著

第3回 「皮膚感覚の不思議」 山口 創 著

第4回 「子どもの理解と援助のために 感覚統合Q&A」 佐藤 剛 監修/永井洋一・浜田昌義 編集

第5回 「脳からわかる発達障害−子どもたちの「生きづらさ」を理解するために」 鳥居深雪 著

第6回 「自閉症の社会学」 竹中 均 著

第7回 「ピーティ」 ベン・マイケルセン 著

第8回 「発達障害の子の感覚遊び・運動遊び」 木村 順 著

第9回 「発達障害のある子を理解して育てる本」 田中哲・藤原美里 著  監修/学研プラス

第10回「発達障害の子に「ちゃんと伝わる」言葉がけ―日常生活の「できる」を増やす伝え方のルール」佐々木正美 著

第11回「ADHDのある子を理解して育てる本」 田中康雄 監修

第12回「自閉というぼくの世界」 なおき 作・エスコアール

第13回「子どもの気持ちを知る絵本B 発達凸凹なボクの世界−感覚過敏を探検する−」 プルスアルハ[<お話と絵>細尾ちあき/<解説>北野陽子]著

第14回「ヒトはなぜ協力するのか」 マイケル・トマセロ 著

第15回「発達障害とことばの相談−子どもの育ちを支える言語聴覚士のアプローチ−」 中川信子 著