職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第19回

「虹色のチョーク 働く幸せを実現した町工場の奇跡」

小松成美 著/幻冬舎/定価(本体1300円+税)


公益社団法人発達協会 神谷療育室 土村みなみ(言語聴覚士)

本書は、神奈川県川崎市にある「日本理化学工業」というチョーク工場についてのノンフィクションです。テレビで紹介されたこともあり、ご存知の方も多いかもしれません。この工場では、社員の7割が知的障がい者であり、その人たちが製造ラインのほぼ100%を占めているそうです。

その人の特性を把握し能力を引き出す工夫、周囲の人達との関係性や環境の調整など、「職場」だからではなく、普段の生活や療育の中でも考えていかなければいけない内容について書かれていると感じました。ここで重要なのは、その工夫が誰のためのものか、ということです。周りが楽になるためというより、本人達がやりがいを感じるため、仕事に前向きに取り組むため、生活しやすいように、という考え方が、結果的に周囲にも良い影響を与えてくれるのだとわかります。

子どもの将来を考え、「働くって、どうして?どうやって?どこで?」など、漠然とした不安を感じた時に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。ここで書かれているのは、障がいがある人が働くということの一つの形ですが、タイトルにもある「働く幸せ」について考えさせてくれます。経営者、従業員、その家族、それぞれの立場から見た「会社」とは、どういう場所なのか。「働く」ことにはどんな意味があるのか。この視点を持つことで、子どもの将来像や今取り組むべき課題について、想像しやすくなるのではないでしょうか。




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