職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第24回

「てんかん発作こうすればだいじょうぶ―発作と介助」

川崎 淳/著 公益社団法人日本てんかん協会/編 クリエイツかもがわ/出版社 定価:2,000円+税


公益社団法人発達協会 療育部 神谷療育室 村田純一(社会福祉士)

知的障害・発達障害を持つ子どもたちには、てんかんを併発するケースがあり、その程度は様々です。筆者も、「顔色を悪くして床に倒れる」、「家では昼夜問わずけいれんを起こしている」…そんな発作の場面を見聞きすることがあります。いざ目の前で子どもが発作を起こしたとき、慣れていないと慌てることもありますよね。そんな時、私たちには何ができるのでしょうか。そもそもてんかんとは、何なのでしょうか。そんな疑問に答えてくれる1冊です。

精神科医である著者の川崎淳先生は、「てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰に興奮することによって、様々な発作を起こす病気である」と述べています。発作の種類は多様ですが、発症する年齢や発作の様子によって分類され、その見分け方のポイントが書かれています。

そして、発作が起きた時の介助方法や注意すべき点についても解説されています。一般的な介助方法は、「けいれん時」「転倒」「朦朧状態」などについて記述があるのでお読みいただきたいのですが、本書では特に本人の行動や思いを踏まえた視点がみられるのが印象的です。例えば学校での対応では、「発作の程度によるが、休める場所へ移動して様子を見、本人の意思確認も踏まえて判断すること」、「周囲が心配しすぎて本人が戻りたいのに戻れない場合があること」などがポイントとして挙げられています。

障害特性とともに、こうした合併症への理解も含めて、本人たちのサポートをしていきたいと感じました。とてもわかりやすく書かれているので、ぜひ読んでみてください。




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