職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第28回

『障害のある子の「親なきあと」』

(渡部伸/著 主婦の友社/出版社 定価:本体1500円+税)


(公益社団法人発達協会 療育部 鷲山杏奈 言語聴覚士)

親がいなくなった後のお子さんの生活について、“考えてはいるけれど、何をしたら良いのか分からない。”そんな、漠然とした不安を抱えている親御さんにお勧めしたい本がこの一冊です。 本書の著書、行政書士である渡部伸先生のお子さんにも知的障害があり、障害のある子をもつ親の共通の悩みをともに考える「親なきあと」相談室の主宰をしています。そんな著書だからこそ伝えられることが多くあります。 親なき後の障がいのある子の生活、親がいる間にできる、住む場所、お金、家事などについての対策を、著書が関わった事例を用いて詳しく解説しています。

例えば、親がいる間にできる対策として、親から離れて生活することに慣れておくため、ショートステイの利用を勧めています。私が、療育で関わっている親御さんたちにも、いつ何が起こるかわからないので、少しずつお泊りに慣れることを伝えています。親の手から離す、不安もあると思いますが、思い切って送り出すことで、お互いに新たな発見があるかもしれません。不安を感じながら生活するよりも、“今できること”を考えて行動していくことの重要性を教えてくれています。

最後に著書は、最低限の準備をしておくことが大切。そうすれば、“いざとなったら何とかなる!”ということを言っています。まさにその通りだと思います。

法制度は年々更新されています。完全に“解決できた”ということはなくとも、準備をしておくことで、安心材料にはなります。この機会に、お子さんの“これから”について考えてみてはいかがでしょうか?




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