職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第29回

『発達障害の人の「片付けスキル」を伸ばす本』

(村上由美/著 講談社/出版社 定価 本体1400円+税)


公益社団法人 発達協会 王子クリニック 飯田祐美(言語聴覚士)

子どもの指導の際、保護者の方から「片付けなさいと言っても全然片付いていない。」と言った片付けに関するご相談を受けることがよくあります。「めんどくさいから?」「片づけは必要ないと思っているから?」理由は色々あるかもしれません。

しかし、著者である村上先生が本書において、『片付けとは具体的にどういう行動を指すのでしょう?そう聞かれて発達障害の人の多くは「えっ?」と口ごもるのではないかと思います。それは「片付け」という言葉から、やるべきことを具体的に思い浮かべることができないからです。』と書かれています。これらのことから、発達障害の子にただ「片付けなさい」と言っても、本人は何をどうしていいのか戸惑っている可能性が考えられます。片付けをしないのではなく、片づけ方が分からないのです。このような状態にいる子に「片付けなさい」と繰り返し伝えることはあまり意味がないように思います。

本書には、発達障害の当事者である村上先生ならではの、具体的で分かりやすい片付けのスキルが満載です。本人がどのようなことに困っているのか、どこにつまずいているのかを知ることができるかもしれません。

片付けのスキルは、「生活を助けてくれる手段」になると村上先生は書かれています。いきなり劇的な変化を求めるのではなく、少しずつ取り組んでいく中で、本人や家族の生活が楽になることを増やしていけると良いと思います。お子さんの片付けについて悩まれている方にぜひおすすめしたい1冊です。




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