職員の読書日記 職員の読書日記

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発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第37回

「発達障害の自分の育て方」

岩本友規/著  株式会社主婦の友社/出版社  定価:1,430円(10%税込)


公益社団法人 発達協会 王子クリニック 山下征己 (言語聴覚士)

「大人の発達障害」という言葉を聞いたことはありますか。発達障害というと子どもの障害というイメージが強いですが、幼少期には障害特性が顕在化せず、社会に出て仕事を始めてから顕在化してくることもあります。著者の岩本友規さんは、社会に出てから発達障害であることがわかり、その二次障害でうつ病、双極性障害を発症した経験のある方です。

内容は、「大人の発達障害克服体験記」、「あなたはこれからどう生きる?大人の発達障害の現実と未来」、「大人の発達障害克服マニュアル」の3章構成となっています。著者は、「克服」という言葉を使っていますが、タイトルである「発達障害の自分の育て方」をたくさんの書籍や研究から分析し、実践していくことを「克服」という言葉を使って表現されています。1章では、小中学生時代の発達障害の傾向や大学生、社会人になってからの苦労が記されています。発達障害当事者でないとわからないような当事者目線の感じ方、考え方を知ることができると思います。それらを踏まえて、3章ではご自身が克服したメカニズムについて詳しく説明されています。読み進めていくうちに「自立することの重要性」や「天職を探していく方法」など、「自分を育て方」を知ることができると思います。

発達障害で苦しんでいる方にはもちろん、発達障害ではない方でも共感できるような著書となっています。ぜひ読んでみてください。




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