職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第41回

「ワーキングメモリを生かす効果的な学習支援」

湯澤正通・湯澤美紀/著 学研プラス/出版社  定価2,200円(10%税込)


公益社団法人 発達協会 療育部 村田純一(社会福祉士)

学習支援の考え方に悩んでいた時、発達協会のセミナーにて、著者である湯澤正通先生の講義を聴講したことがきっかけで、本書に出会いました。

皆さんは「ワーキングメモリ」という概念をご存じでしょうか。「ワーキングメモリ」とは情報を一時的に覚えておきながら考える働きのことを指し、脳で行われる情報処理の概念の1つです。本書にはこの「ワーキングメモリ」という概念に基づいた評価軸と、評価軸を生かした学習支援の方略がわかりやすく書かれています。

評価軸とはすなわち、①言語的短期記憶(言葉や数などの音声情報を覚えておく)と②視空間的短期記憶(形や位置などの視空間情報を覚えておく)、そしてそれらの情報を取り出しながら考え、保持する役割である、③言語性ワーキングメモリと④視空間性ワーキングメモリです。

この評価軸を元に、文字の読み書き、文章の読み、数量の把握や文章題などのよくある躓きについて、原因分析と指導の仕方や教材の作り方などがシンプルに書かれています。私は普段の指導で本書に挙げられているようなお子さんの困難に当たることが多いため、実際に教材を作る際に本書の内容を活かせました。 また、章の合間にあるコラムでは、著者が出会ったお子さんの印象的なエピソードが書かれており、楽しみながら読み進められます。お子さんの学習支援のヒントを得たい方にぜひおすすめです。




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