
●「脳波」とはなんですか?
簡単に言えば、脳から出る電気を大きくして、波形として記録されたものが脳波です。
●脳から出る電気というのは?
少し難しくなりますが、脳と脳の細胞について簡単に説明しましょう。
脳というのは大雑把に言って、脳幹と小脳と大脳という3つの部分に分けることができます。脳幹というのは脳という木を支える幹のようなもので、その上に小脳、大脳が乗っかっています。その大脳の部分は厚さ5〜7ミリの大脳皮質で覆われています。その皮質は神経細胞が集まってできているのですが、よく人の脳には120億の細胞があるとか、140億の細胞があるとかいうのは、ここの細胞の数のことを言っているわけです。
●その脳細胞と電気とはどんな関係があるんでしょうか?
人間の脳はいろいろな情報を集め、それからまた全身へ指令を出すという役割を持っているのですが、そういった、何かを感じたり、見たり聞いたりする時、それに対して指令を出す時、脳細胞が活発に活動して、電気が生じます。この電気が他のいろいろな部位の脳細胞に伝達されていくのです。脳波検査で記録する電気とはこれらの細胞から生じる電気なのです。
●脳というのはコンピューターのようなものですか?
電気回路でつながれているコンピューターとはちょっとちがうのですが・・・・・・。脳細胞から脳細胞へ、また次の細胞へシナプスという連結部を通して電気が伝わっていくのですが、多くのシナプスでは細胞同士がくっついているわけではないので、そこに化学物質が働いて、細胞との橋渡しをします。
●脳波検査は痛くない?
そうです。脳波を取ることは、別に痛くもかゆくもありません。頭にちょっと薬を塗って電極をペタリとはりつけるだけです。ただ、うごいたりすると脳波はうまくとれません。動かずじっとしていてくれればいいのです。といっても、ここが一番難しいのですが。でもだんだん検査がどんなものかわかってくると、静かに寝ていられるようになっていきます。
●脳波検査では何がわかるのでしょうか?
脳波検査をすることでこのような脳の病気がわかります。また、病気そのものだけでなく脳の活動状況がよくわかります。特に、脳細胞が突発的に異常な活動を起こしてしまうてんかんについては、よくわかります。
●脳波検査は、どのようにするのですか?
前回お話ししたように脳波検査は決して痛いものではありません。ふつう脳波を記録する場合、安静覚醒時閉眼状態といって、ベッドに横になって目をつぶって静かにしている状態の脳波をその人の基本リズムとします。
この状態と睡眠時の脳波と両方が検査できればよいのですが、遅れを持った子ども達の場合には、難しいことが多いので、検査の前日から寝不足の状態にしてきてもらい、検査を行います。ぼんやりと起きた状態で検査を始め、検査中に寝てくれればしめたものという訳です。起きている状態での検査が難しければ、睡眠時だけでも検査をします。
けれども、子ども達も病院というふだんとは違う状況の中で興奮気味で、寝不足でもなかなか寝つけないこともあります。そういう時は、仕方がないので睡眠薬などを使い寝かせて検査をします。
●遅れを持った子ども達にとって、脳波検査の役割とは?
遅れを持った子ども達にとっては、必ず受けておいた方がいい検査のひとつです。というのは、脳波に何らかの異常がみられるということが少なくないからです。気づかないで、小さなてんかんの発作を起こしていることもありますし、発作という形になって現れなくても異常波がでていることもあります。
また、異常波の種類によっては、ときにはこれが発達の遅れの原因になっていたり、遅れを大きくしていることもあります。ですから、脳波検査によっててんかんの治療だけでなく、発達の遅れそのものの治療に結びつくこともあります。
●服薬の期間はどのくらいなんでしょうか?
それはケースバイケースですが、短くて4〜5年と考えておいた方がいいでしょう。一般的に服薬の期間は長いということ、それから、服薬をやめる時には薬の量を徐々に減らさなくてはなりません。お医者さんは、発作の有無、脳波の異常波の有無などを参考にして慎重に減量を考えます。勝手にやめてしまったりしないようにお医者さんの指示に従ってください。
●服薬が長くなると薬の副作用が心配ですが・・・・・・。
そうですね。薬には必ず副作用がつきものです。けれども、副作用以上に、発作をコントロールする必要がある場合は、どうしても服薬しなくてはなりません。ですから、尿検査や血液検査を定期的に行うことが大切です。
また、これらの検査以上に子ども達の状態の変化を見ることが大切です。てんかんの薬でよく見られる副作用の眠気やふらつきが非常に強くなったとき、行動の異常(いらつきやおちつきがないなど)が前よりも目立つようになったとき、時には期待に反して発作が多くなることもありますが、このようなときにはかえって効果よりも害の方が多いので、分量を加減したり、薬を変えたりします。
●脳波検査の頻度は?
治療中は、薬があっているかなどを調べるために必要に応じて検査をしていきます。
てんかんの疑いがある時やてんかんと診断された場合は、薬を開始した時期、薬を変更している時期、脳の状態の変化が著しい乳児期は数ヶ月毎に、その他の時期は半年から1年毎に検査するのが一般的です。
回答者:王子クリニック 石崎 朝世(小児科医)
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